龍のシンボルが持つ意味について

龍のシンボルが持つ意味について

 
龍やドラゴンのモチーフはたいへん人気があります。なんといっても迫力がありますし、活力を与えられる感じがしますし、縁起が良いとされてもいます。
もちろん想像上の生き物ですが、東洋の「龍」や西洋の「ドラゴン」ばかりでなく、世界各地の広い範囲で似たような怪物、
つまりヘビが巨大化したような生き物が伝承されています。
これほど普遍的に見られるのは、人類の魂の深いところにある何かが反映しているからではないでしょうか。
事実、ドイツの心理学者カール・グスタフ・ユングはドラゴンが心理学的に重要な意味を持つ象徴であると考え、研究しています。
地域別に龍、ドラゴンをめぐる伝承や思想を振り返り、そのシンボルがいかなる意味を持つかみていきましょう。
 
四神・風水
身近なところから、中国や日本を含む東洋の龍を紐解きましょう。
まず歴史的には、風水思想にもつうじる「四神」に龍が登場します。
古来、「東に大河あれば青龍(せいりゅう)、南に大海あれば朱雀(すざく)、西に大道あれば白虎(びゃっこ)、北に山あれば玄武(げんぶ)」といい、
四方をそのような地形に囲まれた場所は縁起が良いとされ、遷都する先にはそのような土地が好んで選ばれました。
4つの方角にいる神話的動物は「四神」と呼ばれます。龍は東に登場しています。
四神は方角だけでなく、四季や人生のステージとも関連しています。
青龍は、方角は東で、季節は春、若い青少年期に対応します。「青春」という言葉はここからきています。
例えば、皇太子が住む宮は「春宮(とうぐう)」といい、皇居の東側に位置します。
そのため、「東宮」と書くこともあります。つまり、若くて、まだまだこれからという、可能性といきおいに満ちた生命力を、青龍は象徴しているわけです。
ちなみに朱雀は南で夏、まだ若い大人の時期に当たります。白虎は西、秋、中年期。玄武は北、冬、老年期に対応しています。「玄」は黒を意味します。
また、例えば「仮面ライダーは若手イケメン俳優の登龍門」などというふうに使う、「登龍門」という言葉があります。
貧しかったり身分が低かったり、決して有利とはいえない環境で育ちながら、苦労して困難を克服し、
成功を収めた人物のことを龍にたとえる文化が中国にはありました。
この言葉は、『後漢書』に記された、「黄河の急流にある『龍門』と呼ばれる滝を多くの魚が登ろうと試みたが、鯉のみが登り切り、龍になることができた」
とする故事に由来します。
日本で端午の節句に鯉のぼりを揚げるのも、その鯉のように子どもが健やかに成長し、立派に出世することを祈ってのことなのです。
ここから、風水では龍を「困窮している状況から立ち上がる力を得られる」や「上昇志向の願いを叶えられる」や「出世や経済的な成長を後押しする」など
といった縁起物と考えます。


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